女性のための起業ガイド 経営計画をたてよう

ライバル・競合の調査方法は?

個人や小さな会社の場合は、自分の手の届く範囲で競合の調査を行いましょう。
あなたがWEBを主な集客手段にするならWEBで。
ライバルのサイトをじっくり観察し、メールマガジンや公式LINEに登録し、SNSの発信内容もしっかり調査します。
逆に、対面やチラシを主な集客手段にするなら、リアルな場所でも調査をしていきましょう。
ターゲットが訪れる場所にライバルのチラシやポスターがあったり、ターゲットが読む雑誌やフリーペーパーに広告が掲載されているようならそれもチェックします。
必要に応じて、ライバルの商品やサービスを購入してみることも大切な競合調査になります。

ライバル・競合の調査が必要な理由

ライバル調査、競合調査は事業の成否を大きく動かすと言われています。
その一番わかりやすい理由としては「後出しじゃんけんができる」ということ。

少なくとも、ライバルとしてあなたの調査で浮かび上がってくる人は、あなたというお客様候補(同じことに興味を持っている人)に情報を届けることに成功している(=認知を獲得している)わけです。
あなたのもとに情報が届くまでには、おそらくライバルもいろいろな試行錯誤を重ねてきたはずです。
その試行錯誤の結果を見せてくれるわけなので、ライバルが見つけた「一つの正解」を苦労せずに見ることができるのです。

また、ライバルの強みや弱みを探ることで、ライバルよりも自分が強い土俵で戦うようにすることもできますし、ライバルのお客様が感じている不満や心配事をあなたが解消できれば、優位に立つこともできます。

調べないと損!な気がしてきませんか?

ライバル・競合が見つからないときは?

自分と同じような事業をしていたり、同じようなターゲットを狙っている企業や人は、基本的にすべてあなたのライバル=競合になります。

よく「ライバルはいません」「同じようなことをしている人はいません」という方がいるのですが、提供している商品やサービス自体が全く同じではなくても、「同じようなターゲット」の「同じような悩み」を解決するものはライバル・競合になりえます。

極端なことを言うと、「スマホゲーム」には「テレビ」や「映画」、「読書」もライバルといえます。
なぜなら、暇な時間をつぶす、ストレス解消といった意味で、ユーザーの同じ悩み(「ヒマの解消」とか「たのしい時間をすごす」といった目的)を解決できるものだからです。

自分を振り返ってみると、「最近スマホゲームばかりいじっていて、テレビを見なくなった」なんて心当たりがありませんか?
テレビにとっては、スマホゲームというライバルにお客様を奪われた状態になるのです。

こうして考えてみると「ライバルがいない」ということは、「ロケットを飛ばす」などのとんでもない事業ではない限り、基本的にはありえないのがなんとなくわかりますか?
ぜひ視点を広げて、ライバルを探し、調査してみてください。

ライバル・競合調査のやり方

競合調査というと難しく聞こえますが、簡単に言うと、ライバルが「何を」「誰に」「どんな思いで」「どうやって」「どこで」「いくらで」売っているのか、さらにどんな「ユーザーサポート」をしているのか?を調べていくことが基本です。
自分と同じ市場で販売している同業者や、ターゲットの同じ悩みを解決している相手をピックアップし、その会社や個人がどんなふうに事業を組み立てて、どんなふうに売っているのかを徹底的に調べていきましょう。

WEBでの競合調査のやり方

インターネットをメインに商品やサービスを販売していこうとしている場合は、WEB上でのライバルを中心に競合調査を行います。
基本となる調査場所はライバルが運営する以下の5つのメディアと、各所にあるユーザーの声です。

  • 公式WEBサイト
  • SNSアカウント(Instagram、Twitter、Facebook、YouTube、Tiktok等)
  • 公式LINE、メールマガジン
  • 各種WEB広告
  • ジャンルのポータルサイト等

これらのメディアで、「どんなキャッチコピーを使っているのか」「何を売りにしているのか」「何を言っていないのか」を見ていきましょう。

公式WEBサイト

基本的に事業の情報が一番集まっているのが公式サイトです。
公式サイトでは、まずはどんな部分を「売り」にして商品やサービスのアピールをしているのか見ていきましょう。
公式サイトで強くアピールされている部分が、おそらくライバルの「強み」です。

ざっとチェックしながら、サイトを見て魅力的に感じた部分、疑問を持った部分を書き出しておきましょう。

基本的に公式サイトでは「弱み」をアピールしません。
おそらく公式サイトで触れられていない部分で、あなたが「ここはどうなってるのかな?」と思った部分が、そのライバルの弱みです。
少なくとも、うまくアピールできていない以上「わからない」という意味も含めて、お客様にとってはそこがライバルの弱みになります。

SNSアカウント

SNSアカウントでは、プロフィールの書き方、投稿時間、投稿頻度、投稿内容、フォロワーとのコミュニケーションのとり方などを詳しく観察していきます。

これらを集計することで「こういう投稿が伸びる」とか「こんな雰囲気の投稿はコメントが付きやすい」「この時間の投稿は広がりやすい」なんてこともわかってきますが、そこまで徹底的に集計できなくても、ざっとみるだけでも、自分が運用する際のヒントが山盛りのはずです。

ライバルの中でも、フォロワーが多く、いいねやコメントなどが常に賑わっているアカウントがあれば徹底的に分析することをおすすめします。

公式LINE、メールマガジン

ライバルが公式LINEやメールマガジンを運用しているのであれば、どんどん登録してみましょう。
クローズドな場に行けば行くほど、どんな手法で販売へつなげているのかがよくわかります。

どれくらいの頻度で配信しているのか、どんな内容を配信しているのかも参考になりますが、どこで人を集めて、何を見せて、どうやって販売していくのかを、お客様候補として流れにのって見てみましょう。
この際に「ふんふん」と眺めているだけではなく、自分がどこでその人の好感度が上がって下がったのか、「ちょっと欲しいかも」という気持ちになったのか、どこで「本当にお金を払って大丈夫?」と不安になったのかも、しっかり書き留めておいてください。

よくライバルのメルマガに登録するなんて、スパイみたいで申し訳ない…という人がいますが、まったく気にしなくて大丈夫。
セールスがうまければあなたがお客様になる可能性だってあるんですから、ライバルにとっても悪い話ではありません。
もちろん、ライバルの商品やサービスを実際に購入するのことは、ライバル調査という意味でも有効ですし、あなたの知識にもなるはずです。

ただ、メインのメールアドレスで登録しまくるとメールボックスがあっという間にパンクするので、リサーチ用のメールアドレスを用意しておくことをおすすめします。

各種WEB広告

自分が有料の集客は行わないとしても、ライバルのWEB広告(SNSで流れてくるものや、Google検索をした際に表示されるもの)はしっかりリサーチしておきましょう。
広告を流している=効果が出ているということなので(効果が出ないものにお金を払い続けるひとはいません)、その広告のバナーや売り文句、リンク先のLP(ランディングページ。1ページで商品の紹介をする広告ページ)の構成なども、とても参考になります。

また、広告を出しているライバルは、ある程度資金力と知識があるはずです。(完全な素人が、自分だけでWEB広告を運用するのは難しいため)
あなたのジャンルで比較的成功している人の一人であることが多いので、商品の内容やそのほかのメディアでの発信を含めて、じっくり観察しておきましょう。

ただし、広告をクリックするたびにライバルにとってはお金がかかってしまうため、むやみやたらに何度も広告をクリックするのはやめてください。
もちろん興味を持った広告を一度や二度クリックする程度は大丈夫です。

ジャンルのポータルサイト等

ワークショップやイベント、習い事なら「いこーよ」
カフェや飲食店なら「食べログ」
セミナーや占い、コンサルティングなどなら「ストアカ」
ハンドメイド品販売なら「minnne」
ネイルサロンやヨガスタジオなら「ホットペッパー」
…といった感じで、ジャンルによっては「いろいろなお店やサービスをまとめて紹介しているサイト」があります。

こちらも、ライバルをリサーチしている過程で見つかることが多いのですが、これらのサイトを見ていくと「どんなお店が人気で、お客様がどんなことを求めているのか」がわかります。
それぞれのお店の「キャッチコピー」もわかりやすく書かれていることが多いので、一か所でたくさんのライバルを比較することも可能です。

中でも一番よく見てほしいのは各店舗の「口コミ」。
そのお店が人気の理由、そこでお客様が感じたちょっとした不満などが、かなり赤裸々に語られています。
またお店側がそれぞれの口コミに返答しているのかどうか、どんな対応をしているのかもぜひ参考にしてみてください。

オフライン・対面での競合調査のやり方

店舗を持つような場合や、地域性の高い業種で、オフラインでの集客をメインにしていきたいのであれば、リアルな場でのリサーチも大切になります。
また、集客方法に関係なく、対面でのインタビューやアンケートは可能であれば取り入れておきましょう。

  • 店舗・サロンの場合は立地
  • 折込チラシ、ポスティングチラシ
  • 地域情報誌・雑誌等への広告掲載
  • インタビュー
  • アンケート

立地

店舗やサロンをオープンする場合は、成功しているライバルがどんな場所にお店を開いているかはしっかり見ておきましょう。
店舗の場合、事業の成否を大きく分けるのは立地です。

駅からの距離、交通機関の状況、大通りに面しているか、わかりやすい場所にあるか、何階にあるのか、エレベーターの有無、周りの騒音などの状況等、実際にお店やサロンを訪問してみるとよくわかるはずです。

折込チラシ、ポスティングチラシ

チラシで一番最初に目に飛び込んできたものは何か、キャッチコピー、色味や雰囲気は?などなど、チラシは紙面の制限があるため、ライバルも考えに考えて「掲載する内容」を決めているはずです。
どんなところを売りにしているのか、どんな雰囲気をアピールしているのかをしっかり調査しておきましょう。
あなたはそのチラシをみて、どんな部分が魅力的に感じましたか?

逆に見ていてあまり魅力を感じなかったのなら、何があれば魅力的にみえるかを考えてみましょう。

チラシもWEBもSNSも、「ここをこうしたら良くなるのに」という視点を持ちながら見ると、大きなヒントを得られるはずです。

地域情報誌・雑誌等の広告

地域情報誌やフリーペーパーなどは比較的低価格から広告を出せることもあって、中小企業や個人事業主でも広告を出していることがあります。
WEBには一切情報を出さない人気店…のようなものも、地域には結構あるため、身近にどんな知られざるライバルがいるのかを知ることもできますし、どんなお店が求められているのかを知るきっかけも得られます。

インタビュー・アンケート

競合を利用している方に意見を聞かせてもらう方法です。
インタビューの場合は、対面でも電話でもメールでも構いませんが、表情の動きや、空気感で言葉だけでは伝わらないニュアンスも受け取ることが可能なため、対面が一番多くの情報を得られるのは間違いありません。

  • なぜ購入したのか?
  • 購入の決め手は? どの条件が大事だった?
  • どんな悩みがあったのか?
    商品やサービスを手に入れてどうなりたかったのか?
  • 今まで同じような商品やサービスにどんなイメージを抱いていたのか?
  • これまでの商品やサービス(競合も含む)にどんな不満があったのか?
  • どこで知ったのか?
  • 実際に購入してどうだったか? 何が変わったか?

これらのポイントを聞くことで、どうすればライバルに勝てる商品やサービスを提供できるのかを考えるヒントが得られます。

競合調査で大切なこと

競合調査をしたり、ライバルをじっくり観察していると「勝てない」と思うこともあるはずです。
勝てないからあきらめるのではなく、「同じ土俵で戦わない」ことを考えましょう。

ライバルが安さを売りにするなら、自分はサービスを売りにする。
ライバルが技術の高さを売りにするなら、自分はお客様の気持ちにとことん寄り添うことを売りにする。

ライバルが強いところへあとから乗り込んでは勝てなくても当然です。
そんな不毛な戦いを避けるために、ライバル・競合調査を行ったのです。

実は、この3つはマーケティングでリサーチの基本になる「3C分析(スリーシー分析)」と呼ばれるフレームワークです。
ここまでの調査を完了したあなたは、しっかりフレームワークに沿った分析ができてしまっていたのです。
もう「どこで戦えば勝てるか?」がぼんやりと見えてきたのではないでしょうか。

この道しるべが見えているか否かで、難易度は大きく変わるのです。
自信をもって、「あなたが勝てる場所で」戦略を立てていきましょう。

  • この記事を書いた人

ゆり

薬剤師から、某社のサーチエンジンクオリティアップチーム(検索エンジンの中の人)を経て、現在はフリーのwebマーケター&デザイナー&ライター。 1997年からWEBサイト制作をスタートし、企業のオウンドメディアのディレクション、LP制作、チラシ、名刺作成等をはじめとしたマーケティングの支援をメインに、個人でも20ほどのサイトを運営中。 東京都品川区をベースに、これまで1000回以上の親子向けの講座や企業コラボイベントを開催してきた「わたがしひろば(旧ママかつ)」の立ち上げ&ママ講師育成を担当。 品川区と協働で開催する子育てイベント「品川子育てメッセ」IT広報担当。大崎の地域情報誌「新鮮大崎」で子育て記事を連載するほか、品川区の子育て情報サイト「しなっこねっと」の運営など、子育てママをいろいろな側面からサポート中。 私生活では男男女3児の母。

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