女性のための起業ガイド 経営計画をたてよう

起業する目的をはっきりさせる

起業するときに、一番最初にきちんと考えておく必要があるのが「起業の目的」です。

あなたも「自己実現のため」とか「家計を助けたい」とか「働き方を変えたい」「困っている人を助けたい」など、何かの動機があって「起業したい」と考えたのではありませんか?
この「動機」をしっかり深掘りして、明確にしておくことが、起業を成功させるための第一歩です。

なんのために起業するの?

起業した・副業をはじめたママさん、主婦の方にお話を伺うと

  • 子育てのためにお金が必要だった
  • 子どもといる時間を増やしたかった
  • まだ幼い子どもを保育園に預けて育休復帰することを疑問に思ってしまった
  • 離婚を視野に、自立するための収入を増やしたかった
  • 今までの働き方を見直したかった

などなど、「妊娠出産を経て」または「子育てがひと段落して」働き方、生き方を考えた末に、「本当に自分がやりたかったことをする」ために一歩を踏み出した…という方や、子どもの将来のために貯金をふやしたい…という方など、様々な目的が見えてきました。

意外に「離婚を視野に」という方が多かったのは、驚きです。
事実、事業がうまくいったあと離婚してしまった方は身の回りでもかなりの数がいて、みなさんとても幸せそうにしているのが印象的です。

目的を明確にする必要性とは

事業をはじめると、毎日「解決しなければいけないこと」「やるべきこと」が山のようにやってきます。
場合によっては、悩んだり、ピンチに陥ったりすることもあるでしょう。

一方で、女性の場合は特に、起業したいと思う女性を「カモ」にしようとする怪しげな人も、たくさんやってきます。

人間は追い詰められると、判断を誤りがちになります。
「冷静に考えれば、あの判断はなかった」という経験は、多くの起業家が経験していることです。

そんなときに、確かな判断基準となるのが「自分自身の起業の目的」です。

この判断は、私が起業した目的を達成することにつながるものか?
本来の目的からずれてしまってはいないか?

起業した目的に立ち返れば、どんなに忙しくても、追い詰められていても、起業した当初の思いから大きくハズれてしまうことはありません。

目的を見失った起業は失敗する

目的をはっきりさせておかなければ、どこを目指すかわからないままフラフラと迷子になってしまいます。
起業を目指すたくさんの女性をサポートしてきましたが、実際、目的をはっきりさせずに「なんとなくやってみたい」という思いで始めた方で、1年、2年と続いている方はほとんどいません。

女性の場合は、結婚や妊娠出産によって環境と気持ちの変化が起きやすく、その時々の気分で事業を進めると迷走してしまいがち。
また「生活に必要な支出は配偶者が支えているから、自分が稼ぐのが必須ではない」という人も多くて、途中で「やーめた」となってしまうこともよくあります。

自分の人生に事業が必要なくなったのなら問題ありませんが、少しもったいない気がしますよね。

「わたし」の起業の目的を探してみよう

ゆっくりと静かに考えることができる環境で、ペンとノートを目の前に考えていきましょう。
必要なら自宅から出て、カフェや公園などで考えをめぐらせるのもおすすめです。

「なぜ?」を自分に繰り返してみよう

step
1
今、頭に浮かんた「起業の目的」を目の前のノートに書き出してみましょう

ふわっとしたものでも大丈夫。
「お金が欲しい」とか
「育児に苦労するママを助けたい」とか
不正解はないので、なんとなく頭に浮かんでいることを書き出してください。

step
2
それはなぜですか?

なぜ?「お金が欲しい」の?
なぜ?「育児に苦労するママを助けたい」の?

なぜあなたはこう思ったのでしょうか?
その答えをまたノートに書き留めてください。

たとえば、「なぜ?私は、育児に苦労するママを助けたいんだろう?」の答えとして、「自分が苦労したから」「ママ友たちも大変そうだから」など、いくつでも思いつくだけ書き留めていきます。

step
3
さらに出た答えに対して二回目の「なぜ?」を投げかけます。

今出した答えに、さらに「なぜ?」と問いを重ねます。
少し難しくなってきましたか?

たとえば、なぜ「自分が苦労した」の?と問いかければ、「実家が遠くて助けてもらえなかった」とか「相談できるひとが誰もいなかった」とか、自分の中から答えが出てくるはずです。

step
4
まだまだ「なぜ?」を投げかけます。

今の答えに、さらになぜ?を投げてみましょう。

なぜ「相談できる人がいなかった」?のか、考えてみれば「結婚して縁もゆかりもない土地に引っ越してきたから、誰も知り合いがいない」とか「困っても相談できる場所を知らなかった」とか、また一歩進んだ答えが出てくるはずです。

step
5
さらに「なぜ」で、もっと深掘りします。

なぜ「相談する場所がわからなかった」んだろう?の問いには、「妊娠中に情報を得る機会がなかった」なんていう感じで、そろそろ問題点が明確になってきたのではないでしょうか。

step
6
最後にもう一度「なぜ?」もしくは「どうすればよかった?」を投げかけます。

ここまでで見つかった「なぜ」の結果に対して、「なぜ?」もしくは「どうすればよかった?」と考えてみましょう。

どうすれば情報を得られただろう?と考えると、「妊娠中でもアクセスできる地域の情報源がネットにあればよかった」とか、友人をつくる機会に関しては、「産後のママたちが知り合って仲良くなれる場所がほしかった」なんて考えにつながりました。

ここまでくれば、目的として「妊娠中でもアクセスしやすい情報をまとめて提供する」とか「産後のママたちが友人を作れるような場を提供する」といった感じの、自分が起業する目的が具体的になってきたはずです。

上の例は社会的な意義を追求していきましたが、まったく個人的に

「お金が必要だから」→なぜ?→「子どもを塾に行かせたい」→なぜ?→「中学受験をさせたい」→なぜ?→「高校受験で苦労させたくない」→なぜ?→「自分が受験で苦労したから」→どうすればよかった?→「小学生からコツコツ勉強すればよかった」→なぜできなかった?→「宿題もやらずに遊んでばかりいた」→なぜ?→「両親が忙しくて家にいなかったから、誰にも注意されなかった」→どうすればよかった?→「子どもが自分から勉強するのは難しいから、親からの声掛けが欲しかった」→「勉強には親のサポートが必要」→「塾にいかせたとしても、きちんと宿題をできる環境を作る必要がある」

この場合は「必要なのはお金だけではない」という結論にたどり着きました。
必要なのは、お金にプラスして親のサポートでしょう。だとすれば、自分が必死に働いてお金を稼ぐよりも、子どもに寄り添える余裕を残しながら、必要最低限を稼ぐという方法を目指すほうが、求める幸せに近づくかもしれませんね。

起業の目的が変わってくれば、最適な働き方も変わります
だからこそ、じっくり考える必要があるのです。

 

これで企業理念「=ミッション」が完成しました

実際にじっくり考えてみて、どうでしょうか?
はじめの漠然とした「目的」よりも、ぐっと鮮やかではっきりした「目的」になったのではないでしょうか?

問いを繰り返す中で、自分がビジネスとして社会に提供したいもの、起業をする社会的な意義のようなものにたどり着いた方も多いはずです。あなたがこれから活動していくうえでのポリシー、指針になるような答えにたどり着けるまで、ぜひ頑張って深堀りしてみましょう。
実はこれがもう、事業計画書に必須の「企業理念」「社会的に実現したいこと」の欄に記入する答えになっているんです。

今回は5回の「なぜ?」で掘り下げましたが、場合によってはもっと少なくてもはっきりした目的にたどり着くこともありますし、7,8回と繰り返すことで、思いがはっきりしてくることもあります。

この「5回のなぜ?を繰り返す」のは、「トヨタ式」とよく言われている方法で、本来は何かトラブルがあったときに、その原因を突き止めるために使われる手法です。

ぼんやりとした思考をクリアにするのにとても便利なので、起業家として生きていくみなさんは、常に頭にいれておいて、思考を整理する必要があるときには、ぜひ使ってみてください。
もちろん、本来の「トラブルの原因をさぐる」のにも、とても有効です。

 

常に目につくところへ掲示しよう

深掘りして見つかった「目的」は、常に目につくところへ貼り出しておきます
キッチンやトイレでも良いですし、写メをとってスマホの待受画面にしてもok。
スケジュール帳の表紙に貼っておくのもおすすめです。

事業を進める上で悩んだ時、迷ったときは、かならずこの目的に立ち返ってください。
ブレずに後悔することのない判断をするための、強力な助けになってくれるはずです。

  • この記事を書いた人

ゆり

薬剤師から、某社のサーチエンジンクオリティアップチーム(検索エンジンの中の人)を経て、現在はフリーのwebマーケター&デザイナー&ライター。 1997年からWEBサイト制作をスタートし、企業のオウンドメディアのディレクション、LP制作、チラシ、名刺作成等をはじめとしたマーケティングの支援をメインに、個人でも20ほどのサイトを運営中。 東京都品川区をベースに、これまで1000回以上の親子向けの講座や企業コラボイベントを開催してきた「わたがしひろば(旧ママかつ)」の立ち上げ&ママ講師育成を担当。 品川区と協働で開催する子育てイベント「品川子育てメッセ」IT広報担当。大崎の地域情報誌「新鮮大崎」で子育て記事を連載するほか、品川区の子育て情報サイト「しなっこねっと」の運営など、子育てママをいろいろな側面からサポート中。 私生活では男男女3児の母。

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